20数年ほど前から、子供の視力低下が問題化してきました。それと前後して、子供の肩こりの増加も話題になりました。
この2つの症状の問になんらかの関係があるのではないかと考え、目の働きや視力、体との関係について調べたました。
そして、わかったことの1つは、視力は毎日よくなったり悪くなったりの変動をくり返しているという事実でした。
ある会社の二25歳から35歳までの営業担当社員10人を対象に、月曜日から金曜日までと、翌週の月曜日を加えて、合計6日間にわたり、毎日、昼休みに視力を測定しました。
その結果、この集団の視力の平均値は、右目で0.24、左目で0.37の幅で変動していました。人によっては0.8の幅がありました。このように視力はかなりダイナミックな変動をくり返しています。そうした変動を生み出している要素がなんなのかを考えたところ、主な要因は目の疲れであることがわかったのです。
その目の疲れを引き起こしているのは、心身の疲労であり、特に肩こりが関係していました。
目の疲れと肩こりの関係を示す、次のようなデータがあります。東京有数の進学校である開成学園の父母会で、552人からアンケートを取って解析したものです。アンケートでは、肩こりと眼鏡、親の肩こりと子供の肩こりについて、えでれぞれの関係を調べました。
すると、親の肩こりがひどいほど子供の肩こりもひどくなること、肩こりの度合いが強くなるほど眼鏡をかけている子供の割合も多くなることがわかったのです。
次のようなデータもあります。能力開発講座で、「速読」の教室があります。
主な目的は文章を速く読む速読ですが、ここでは首や肩のこりを取る運動も行います。そして、45人の受講者を対象に、目の疲れ、首・肩のこり、頭痛の度合いを5段階評価し、受講前と受講三カ月後で比較しました。
その結果、講習前後の平均値で、肩こりは2.51→1.9、首のこりは2.4→2.2、頭痛も1.8→1.4と改善するのに伴い、目の疲れも3.1→2.8と改善したのです。
この結果から、首や肩のこりを取ると、目の疲れも改善することがわかりました。目の疲れが改善すれば、視力もよくなる効果が期待できそうです。
そこで、次のような試みを行いました。NHKテレビ番組で、東京都の公立中学校の1年生15人(男子8人、女子7人、平均年齢13.3歳)の下校時に、視力測定を行ってから、
首や肩のこりをほぐす運動を行ってもらい、再び視力を測定しました。その結果、中学生15人の視力の平均値は、その場で右が0.68→1..03改善し、左は0.69→1.09と改善したのです。別のテレビ番組では大人を対象にした試みを行ったところ、大人の場合も同様の効果が証明されました。こうしたさまざまな研究や試験によって、首や肩のこりが視力を低下させており、筋肉のこりを解消すれば視力は改善できることが判明したのです。
首や肩がこる人は、背中を丸めたネコ背の姿勢を取っています。背すじを伸ばしてネコ背を解消することが先決です。